資産形成

誰が使える?メリット&デメリットは?【財形貯蓄制度】を分かりやすく丁寧に!

本記事では

  • 財形貯蓄制度(ざいけいちょちくせいど)ってそもそも何⁉
    誰が使えるの?
  • 財形貯蓄の種類について詳しく!
  • 制度は利用した方が良い?メリットとデメリットは?

という内容を、ママFPが分かりやすく説明していきます!

結論から言うと、一度手続きしてしまえば、自動的にお給料から「先取貯金」をしてくれるので、「あればあるだけ使っちゃう!」「自分で貯蓄口座を用意したり、資産運用したりするのが面倒~」という方にはおすすめの貯蓄制度です。

財形貯蓄制度とは?

制度の内容

毎月お給料から一定の金額を天引きし、積立貯蓄していく制度です。
資金の使い道により、以下の3種類の貯蓄制度があります。

  1. 一般財形貯蓄
    結婚などのライフイベントや、教育資金、車の買い替え等、幅広い目的のための貯蓄。
  2. 財形住宅貯蓄
    マイホームの建設や購入、リフォーム資金を作るための貯蓄。
  3. 財形年金貯蓄
    60歳以降に年金として受け取るための貯蓄。

これらの貯蓄制度を利用するには、勤務先の会社で制度が導入されている必要があります。
(福利厚生の一環という位置づけなので、人事部に問い合わせれば分かります。)
財形貯蓄の種類により、利子等に対する非課税措置や、融資を利用できるというメリットがあります。
(詳しい内容は後述します。)

誰が使える?

雇用形態(正社員・アルバイト・契約社員など)に関わらず、制度が導入されている企業の勤労者であれば、基本的には誰でも制度を利用することが出来ます。
(逆に、制度を利用したくても、そもそも勤務先の企業に制度が導入されていなければ、利用することが出来ません。)
ただ、種類によっては年齢の制限があります。
また、「社員のライフイベントを支援する」という性質上、会社の役員(=勤労者ではなく雇用主側)は制度を利用できません。

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財形貯蓄の種類ごとの内容詳細

下記のような3種類の財形貯蓄がありますが、どれかを選ばなければいけないわけでは無く、併用することも可能です。

一般財形貯蓄

  • 貯蓄目的は何でもOK。
  • 原則3年以上定期的に積み立てることが前提だけど、1年経過すれば払出し出来る。
  • 加入時の年齢制限無し。
  • 利子等に対する非課税措置が無いので、利益に対して20.315%の税金が掛かる。
  • 財形持家転貸融資(マイホーム取得の際に事業主を通じて受けられる公的住宅ローン)を利用できる。

財形住宅貯蓄

  • マイホームの取得(新築・購入)や増改築工事のための資金作りを目的とする。
    (契約者本人が所有・居住することが前提。リフォームは工事費が75万円以上である必要がある。その他築年数や家の広さなどの条件もあり。参考:▶財形住宅貯蓄|勤労者財形形成事業本部
  • 積み立て期間は5年以上であることが前提。
  • 契約時に満55歳未満である必要がある。
  • 財形年金貯蓄と合わせて、残高合計550万円までは非課税で払出し可能。
  • 財形持家転貸融資(マイホーム取得の際に事業主を通じて受けられる公的住宅ローン)を利用できる。

財形年金貯蓄

  • 年金として、老後のための資金作りを目的とする。
  • 積み立て期間は5年以上であることが前提。
  • 契約時に満55歳未満である必要がある。
  • 満60歳以降に5年~20年の期間内で受取期間を設定できる。
  • 財形住宅貯蓄と合わせて、残高合計550万円までは非課税で払出し可能。
    (保険の場合は、払込額385万円まで。)
  • 財形持家転貸融資(マイホーム取得の際に事業主を通じて受けられる公的住宅ローン)を利用できる。

財形貯蓄制度のメリット&デメリット

メリット

  1. お給料から天引きされるので、その分は強制的に貯蓄に回すことが出来る。
    一度設定してしまえば、「先取貯金」を毎月(またはボーナス時) 自動的に行うことが出来るので、ズボラさんにはとてもおすすめです!
  2. 財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄では、非課税措置が受けられる。
    (証券会社の課税口座を利用した投資で利益が出た場合に支払うべき税金を、財形での利益なら節約できる。)
  3. 万一、勤め先が倒産したとしても、積み立てていたお金は無事。
    会社を通して金融機関にお金を預けているので、会社が倒産しても、それまで積み立てていた資産が無くなってしまう事はありません。
    (ただし、会社によっては預金型だけでなく、保険や運用商品等の元本保証ではないケースもあるので、財形のすべてが元本保証でない事に注意が必要です。)

デメリット

  1. 財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄では、前提となっている目的以外の用途で払い出す場合、原則税金が掛かってしまう。
  2. 定期預金型の財形の場合、大手銀の通常金利よりも利率が良いものの、ネット銀の利率には負けてしまうケースが多い。
  3. 積み立て開始後、定められた期間はそのお金を使う事が出来ない。
  4. 転職の場合、転職先企業に財形の制度が無い場合、積み立て金を払い出す(解約する)必要がある。
    その際、用途外もしくは定められた期間を満たしていない場合は課税扱いとなってしまいます。2年以内に、それまで積み立てをした貯蓄を移管して、積み立てを再開することは可能です。
財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の場合、税制上の優遇措置はあるものの、そもそも利率が低くて利子があまり付かないとなると、あまりメリットが感じられませんよね。
金利のよいネット銀の口座にお給料を入れっぱなしにした方が、まだ利子が多く付く可能性があります。資産運用に回せば、効率的に資産を増やせる可能性も大きくなりますね。
目的外の用途のために払い出す場合には課税されてしまう点や、自由にお金を引き出せない点も、個人的にはネックに感じてしまいます。

ただ、お給料の振込前に、自動的に先取貯金をすることになるので、
「気付いた時には結構貯まっていた!お給料として振り込まれていたら、買い物に使ってしまっていたかも!」
という人には、おすすめ出来る貯蓄スタイルだと思います!
大きなリターンは望めないかもしれませんが、一度手続きさえしてしまえば、コツコツと確実に貯蓄出来る方法だと思います。

申し込みや払出し時の条件など、詳しくは財形貯蓄に関する公式ページも読んでみて下さいね。
参考:▶財形貯蓄制度|厚生労働省
▶財形制度について|勤労者財産形成事業本部